木挽町辨松(こびきちょうべんまつ)

木挽町辨松(こびきちょうべんまつ)

先日4月2日になくなってしまうものについて
書きましたが
東京都中央区の
”中銀カプセルタワービル(『思い出は心の中に』)”
のほかにもうひとつ
書き留めておきたいと思います。

2020年4月20日に閉店した
『木挽町辨松(こびきちょうべんまつ)』
です。
間もなく2年になるのですね・・・

木挽町辨松(こびきちょうべんまつ)とは

東京・東銀座にある歌舞伎座の
真向かいにあったお弁当屋さんです。
今から約2年前の2020年4月20日に
152年の歴史に幕を下ろしました。

歌舞伎座や新橋演舞場の役者さんや
観劇用のお弁当として愛され
また池波正太郎氏のエッセイや
久保田万太郎氏(俳人)の作品にも
登場する明治元年(1868年)創業の
老舗のお弁当屋さんです。

はじめての歌舞伎

数年前、突如として降って湧いたかのように
「歌舞伎を観てみたい!」と思いました。

勢いで無事にチケットが取れたら
いろいろ予習をしたいと思い・・・
知識がほぼゼロに近かったので
『歌舞伎一年生』(中川右介著)を
急ぎひと通り読みました。
その中にこの辯松さんのことが
書かれていたのです。

ふむふむ・・・
幕間(まくあい)の食事は
座席でお弁当っていうのが
気分が上がるんじゃない!?
と思った私は
「どうしても辯松さんのお弁当を
食べたい!!」
となりまして。
心の中では初心者マークを掲げて
ソワソワしながらも
必死で平静を装いつつ出かけました。

でもダメねー。
あの立派な歌舞伎座を目の前にしたら
もう興奮してしまい、
入場前から写真を撮りまくり。
どきどきワクワクが
全く隠せませんでした~。

辯松さんへgo!!

そしてひととおり歌舞伎座の写真を
撮り終えると
いよいよ横断歩道を渡って
辯松さんへgo!!

ホームページで確認してはいたけれど
目の前のショーウインドウに
ずらりと並んだお弁当を目の前にすると
目移りしてしまう!
後から来たお客さんが迷うことなく
サッと買って出て行かれました。
おぉ~、きっと慣れたお客さんなんだなぁ。
母くらいの年齢のお姉さまの
颯爽とした姿を思わず目で追います。

満足

はじめての辯松さんのお弁当を
手にした私は
また横断歩道を渡って
歌舞伎座に戻ります。

記念すべきはじめての歌舞伎と
はじめての客席での食事。
そしてそこには
ずっと歌舞伎座と共に歩んで来られた
辯松さんのお弁当!
もう最高じゃん!!

(私の持ち運び方が悪く中身が偏ってしまっております・・・)

勝手に興奮、勝手に盛り上がり
これぞ一人旅の醍醐味!!と
悦に浸っておりました・・・

突然のお別れ

そんな辯松さんでしたが
私が伺ったのはこれが最初で最後。

以後の歌舞伎鑑賞の際は
他のお弁当であったり
もう少し簡単な軽食だったり。

またいつか伺うつもりでいたから
他の選択もしたのです。

それがまさかの閉店。

2020年の4月といえば
コロナ禍の真只中・・・

もともと進められていた事業譲渡の話も
コロナ禍の影響もあってか
3月の契約寸前に白紙になったとのことです。

思い出は心の中に

このように辯松さんとは
突然のお別れとなってしまいました。

私の中の”はじめての歌舞伎”に
鮮やかに彩りを添えたのは
辯松さんのお弁当でした。

今はもう全く別のお店になっていますが
きっと今後もあそこを通るたびに
辯松さんを思い出すことでしょう。

寂しいけれど私の中には
今でもドキドキワクワクした
あの時の思いが
ずーっと刻まれています。

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